熱闘甲子園の個人視聴率 | プロ野球の視聴率を語るblog

熱闘甲子園の個人視聴率

昨日のエントリーではちょっとバカにしてしまったのですが、野球の現状認識については当たっている点もあるので触れておきます。

 

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オールスター戦「尻切れ放送」断行が示すプロ野球の危機…
http://sankei.jp.msn.com/west/west_sports/news/140802/wsp14080212000002-n3.htm
 
オッサン世代は意外と気づいていないが、野球はルールが難しいスポーツで、小さいころから浴びるほど情報を得てようやく細部まで理解できるもの。その理解にテレビは大きく貢献してきた。視聴率が漸減し、中継タブーが軽々とクリアされていく現状からは、野球中継激減→ルールがわからず、関心すらない層の増加-という悪循環が危惧される。
 
数年前、巨人が開いた野球教室で「振りかぶって」という説明を子供が理解できなかったことが話題になった。球界再編にからんで鳴り物入りで始まったセ・パ交流戦(05年~)やクライマックスシリーズ(07年~)のほとんどの試合もあっという間に地上波全国放送から消えた。日本には高校野球という強力な「野球教本」があるので無関心層の急激な増加はないだろうが、プロ野球関係者は商売とは違う観点で地上波から「軽視」されつつある現状に危機感を持った方がいい。

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一応まとめると、

 

 

・野球というスポーツは、ルールが複雑かつ直観的でないので理解することが難しい

 

・これまではテレビ中継が日本人の野球理解に大きな貢献をしてきたが、それがどんどん減っている

 

・とはいえまだ高校野球の中継があるので大丈夫だけど

 

 

これはその通りだと思います。やっぱり今の時代でも、テレビ中継の影響力というのは非常に大きいです。地上波テレビって「タダで気軽に見られる」のと、動きを映像で理解できるので、入り口としてはとても効果的なのですね。そこで高校野球の果たす役割は大きいと思います。

 

甲子園については、NHKが全国中継するというのも影響が大きいです。高校野球がなぜあんなに注目されるか、暑い中なぜ全校生徒が(行きたくない人まで)応援に駆り出されるか、なぜ甲子園に出ると監督のベンツが新車になるのか…、その根源にあるのは「NHKが全国中継しているから」ということだと思います。

 

学校の看板を背負って予選を戦い、勝てばNHKで全国中継してもらえる、学校名が公共の電波で何度も取り上げられる。その勝った時のメリットが莫大であるため、学校は大金をはたいて選手をかき集め、熱中症もいとわず生徒に応援をさせ、選手も人生をかけて肘を壊しながら連投するわけです。

 

別に非難しているわけではなく(野球界全体にとってこれでいいのか?というのはありますが)、大きなものがかかっている勝負というのは面白い、と素直に思います。サッカーでいうとワールドカップ予選のような面白さだと思います。最近の日本のヌルいアジア予選より、高校野球の神奈川県予選とかの方が勝負事としては面白いんじゃないでしょうか。見たことないですけど。
 

 

とはいえ、今の日本では野球文化が衰退しつつあります。「興業」としての高校野球はしばらく大丈夫だと思いますが、「普及」という面ではどうでしょうか?いくらテレビ中継がルールの理解に役立つといっても、見てくれなければ話になりません。プロ野球中継の視聴者は高齢者に偏っていましたが、果たして高校野球は若年層に見てもらえているのでしょうか?

 

そこで、国会図書館に行って高校野球中継の年代別視聴率を調べることを考えました…が、NHKの試合中継はニュースを挟むごとに別番組扱いになるため、番組数が膨大であったため断念しました。代わりにテレビ朝日系で夜放送している「熱闘甲子園」の年代別視聴率を調べてきました。これでも「若年層の高校野球への関心」のサンプルとしては十分役に立つと思います。

 

 

2010~13年「熱闘甲子園」視聴率
世帯 KID .TEN M1 M2 M3  F1 F2  F3
*8.7 *1.0 *7.6 *5.3 *5.2 *5.3 *3.1 *6.1 *4.0 2010年熱闘甲子園全平均(8/7-21)

*8.1 **.9 *5.4 *4.9 *5.5 *5.0 *3.0 *4.8 *3.7 2011年熱闘甲子園全平均(8/6-20)
*6.7 *1.1 *3.4 *3.5 *4.4 *4.0 *3.4 *3.8 *3.2 2012年熱闘甲子園全平均(8/9-23)
*6.2 **.7 *2.1 *2.7 *3.8 *4.0 *2.0 *3.3 *3.4 2013年熱闘甲子園全平均(8/8-22)

(KID=12歳以下/TEN=13~19/M=男、F=女/1=20~34歳、2=35~49歳、3=50歳以上)

 

(一日ごとのデータは気が向いたらコメント欄に貼るかもしれません)

 

 

注目はTEENの視聴率で、2010年では7.6%とこの年の世代間の比較でも一番高かったのに、その後7.6→5.4→3.4→2.1%と、急激に低下しているようです。

 

4年間の変化でしかないので、その前や今後の数字がどうなるか次第ですが、少なくともこの4年間で、TEEN層=13~19歳の世代における、高校野球への関心が低下していることが示唆されます。
 
 

 

<考察>

巨人戦の地上波中継が減少してきたのが2006年からなので、その影響が少し遅れて出てきているのかもしれません。小学生の年代にナイター中継を見てルールを覚えておかないと、13歳になってからでは野球に関心を持ちようがないというのがあるのかも。

 

この数字は関東地区のものなので、関西などではまた違った傾向があるかもしれません。とはいえ、過去に何度も書いていますがビデオリサーチにおける関東地区の調査対象人口は4000万人で日本全体の3分の1であり、関西地区2000万人、名古屋地区1000万人と比べるとかなり大きいです。また文化的な現象について「関東だけが特殊で、他の地域全体では若年層も野球を見ている」と考えるのは無理があるかと思います。

 

僕は労力の大きさから断念しましたが、NHKでの試合中継自体の視聴率を調べられる方がいましたらまた違う角度からわかることもあると思います。